若洲海浜公園の猫たち

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東京の猫の島、若洲

東京湾の新しい島、若洲

東京都江東区の若洲は、ゴミの埋め立てによって東京湾内にできた人工島です。新木場駅がある「夢の島」のさらに沖方に位置します。公共交通機関でのアクセスは新木場からの都バスのみ。

もとは東京湾の水面でしたが、1965年から1974年まで約10年にわたって膨大な東京のゴミを受け入れた結果、 1.8km2の広大な土地が新しく生まれました。新しくできた若い島だから「若、洲」です。

若洲は、猫の島です。

新しくできた埋立地なので、一般の民家はありません。それなのに野良猫が多い理由は、ここには釣り場があるからです。どこかからやってきた、あるいは、連れてこられた猫たちが、釣り人に餌をもらって繁殖しているのです。

ただし、あとで御紹介しますが、TNR(野良猫の去勢・避妊手術をすすめる動物愛護団体の活動)は若洲にも及んでおり、公園内の多くの猫が去勢・避妊手術を受けています。なので、いずれは徐々に減少していくのかも知れません。

殺処分をなくすために繁殖を抑えるというTNRの趣旨に対しては、人それぞれ御意見があるでしょうが、わたしは心情的には違和感を感じつつも、やむを得ないものであるとも考えています。

若洲海浜公園の景色

若洲海浜公園といえば、この印象的な橋の景色で有名です。

船舶を通すために橋脚を高くする必要があり、いっぽう羽田の航空路の関係で高い塔を立てられないというジレンマのなかで生まれた独特のデザインです。

橋の先は中央防波堤を経て、大田区の城南島海浜公園に至ります。

対岸の羽田空港を離陸した飛行機が、この海浜公園のあたりを通って上昇していきます。そのため、航空ファンに人気の撮影スポットにもなっています。晴れた日、島の西海岸には、高価なカメラをもった人が並びます。

どこから運んだのか、10トン級の大きな岩が無数に積み上がった海岸もあります。ここだけ景色をトリミングすると、東京23区内とは思えないです。

この人工磯では、スズキ、カサゴ、メバル などが釣れるそうです。

若洲海浜公園の猫たち

公園で野良猫を探すときの重点捜索ポイントは、(このことは何度も書いていますが、)人間から餌をもらいやすい場所です。具体的には、たとえば駐車場。そして、海岸沿いの公園の場合は、釣り人が集まる岸壁です。

若洲の場合、下図の場所になります。

若洲の島の東半分はゴルフ場、西半分の大半は倉庫などの物流施設で、その一角に海浜公園があります。広大な公園内には、キャンプ場や釣り場などのレジャー施設があります。このキャンプ場と釣り場にやって来る人たちが、野良猫の日々の生活を支えています。

駐車場

都バスを終点で降りると、目の前が駐車場です。駐車場を取り巻く緑地のなかに、仲良しの猫がいました。

耳の先が切り取られているのは、TNR活動による去勢・避妊手術ずみの印です。

餌や水は、誰かが面倒をみているようです。

釣り場の猫たち

ゲートブリッジ展望台の下あたりから、海釣り用の護岸が広がっています。護岸とキャンプ場に挟まれた細長い緑地のあたりが、猫スポットになっています。

釣り人の後ろで、猫たちは釣果のおこぼれを待ちます。

猫に付き合って餌をまっていたら、夜になってしまいました。

このあと、猫たちはちゃんと小魚をもらっていました。

東京ゲートブリッジ、展望台

真っ暗になった頃、東京ゲートブリッジの展望台に上がってみました。船を通すために橋脚が高く作られているので、橋を歩くにはエレベーターで数十メールあがります。8階建てのビルの高さとのこと。

ゲートブリッジには歩道もあり、徒歩で渡れます。

ただし、現在のところ、渡った先の中央防波堤埋立地に降りることはできないので、若洲に戻ってくることになります。

この橋は、上を歩くよりも、離れてみるほうがキレイですね。

夜の猫たち

莫大な費用を使って擬似的な自然環境が作られていますが、もともと殺風景なゴミ埋立地である若洲には、どこか近未来的な雰囲気があります。

若洲の地で想像する近未来は、生身の人々が温かい気持ちでつながる未来ではなく、冷めた無機質な世界です。

夜の若洲の猫たちは、そんな無機質な世界に溶け込むように存在しています。

人が帰ったあとも、猫たちはここでずっと過ごします。

スマホの自動露出だと、不自然な光の効果で異次元感が強調されますね。

風車も夜にみると少し不思議な感じ。

夜の花とハチワレの猫。

ここの猫たちはみな去勢・避妊手術済みです。一代限りの生を、穏やかにまっとうしてほしいと思います。

この記事の写真は、昨年の初秋に撮影したものです。

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